1. 同時研究とは
同時研究(concurrent work)とは,同時期に並行的に研究された,同じ目的・手段の研究(業績)同士のことをいう.「提案したアイデアがまるまる被った研究(=論文)同士」を,ジャーナルや国際会議等の英語論文では「concurrent work(同時研究)」と呼ぶことが多い.(※ 「同時研究」とは,私の方で独自に翻訳した呼びかたである).
このサイトの主テーマであるコンピュータビジョンを始めとして,ディープラーニングを用いる「パターン認識系の分野」を中心に,同時研究が発生しやすい状況になっている.
かなり昔の,パターン認識が実用的ではなかったアカデミック第一主義の時代のパターン認識では,同時研究はネガティブなとらえかたもされていた.新規性が第一なので,似たアイデアや同じアイデアがあるということは,論文が通りづらい,もしくは先に公知になると査読が通らないようになってしまうので,研究者からすると「研究の発想が他人とかぶる」というのは,ネガティブなものであった.
しかし,ディープラーニング後,実用の時代になったパターン認識系分野は,ビジネスでよく実用される技術も多い状況に変わった.応用研究である以上,ゴールは「実用されて世の中に需要が生み出されること」でもある.そして,企業での実用化を支える屋台骨が,論文化された先端的研究となっているのが今の構図でもある.ゆえに,同時研究の多発は,「沢山の知見が早く公知になる」と意味で,むしろ好ましいことであると,管理人としては考える
このポジティブ面とネガティブ面については,以下の関連するQ&A記事後半で,詳しく整理している: