1. [概要]
PCL (Point Cloud Library)の基本と「なぜ点群処理か」という題目で,2014年のCV勉強会関東にて発表しました.その時のスライドが,「今でも役に立ちそう」と思い,体裁だけ整えた第2版のスライドを再構成し、Spearker Deck へアップロードしました.
以下は,そのスライドの公開先へのリンクです.
Speakerdeck: PCL (Point Cloud Library)の基本となぜ点群処理か_2023年_第2版
また,記事中にも以下に埋込んでおきます:
1.1 スライドの大まかな構成
スライドは,以下のような「2部」構成です:
- 1部:PCLと点群処理の,初心者むけチュートリアル.
- PCLの登場と,安価なデプスセンサー登場当時の時代背景.
- 点群データとは?距離画像とは?→ それをPCLのクラスではどう扱う?
- PCLでの毎フレームの点群のリアルタイム取得→処理の方法.
- PCLには可視化ツールがあるので,可視化は楽できる.
- PCL::Filteringモジュールの紹介
- 2部:なぜ点群処理なのか?(画像でなくて3D点群でビジョン処理をする利点は?)
- 2D画像処理と3D点群処理で,認識に使用する「特徴(量)」を比較.
- どういう時に,2D画像だと不利になり,3D点群処理のほうが認識になるか?
- 点群処理における「プリミティブ特徴」のアプローチについて(法線や平面など)
- 楽な前処理だけで,物体インスタンスごとの処理が簡単になる話.
スライド中には,この全体の目次はない(第2版でも追加はしなかった)ので,この記事と合わせてスライドを閲覧すると読みやすいかもしれません.
2. 当時(2014年)と,現在(2023年1月)の技術的な時代間比較
発表当時は,2014年と,深層学習ブームが本格的に日本に到来する前の時期です.よって,みなさん,深層学習に移行を少しずつ始めていた頃でした.そもそも,安価なセンサーが出てきた頃なので,ビジネスでは点群処理のニーズはまだ少なく,高価なLiDARを用いても,広い環境を点群測量する価値が出る業界でしか,まだ点群処理のニーズはありませんでした(例:建築土木系や,航空測量会社など).また,2014年は,PCLもまだ出てきてすぐでまだ人気は得ておらず,ビジネスで3D点群処理が活躍している業界・場面も限定的でした.(当時は,ROSも普及していません).
一方,2023年現在では,点群処理も,深層学習による研究成果とノウハウがでてきており,色んな点群ネットワークを学習できる時代になっています.深層学習技術はあるものの,基本的な点群処理では,PCLに搭載されている昔ながらの処理でも,十分に済む場面もまだまだあります(例,点群の位置合わせや,簡単な点群の加工処理など).
よって,9年前のスライドで,当時はまだ先端的・研究的であった内容でも,話した内容自体の「本質的なところ,基礎的なところ」は2023年現在でも(特に点群処理これから本格的に始める方々)には,十分に役立つと思うので,第2版を公開することにしました.
点群処理系の方や,点群処理これから始めるかたなどに,古い資料ではあるもののお役立ちできれば幸いです(※ 点群処理系の記事も少しずつ書き始めます)
関連書籍
- コンピュータビジョン最前線 Winter 2021:秋月秀一先生による 「フカヨミ カテゴリレベル姿勢推定」
- コンピュータビジョン最前線 Winter 2022 :千葉直也さんによる「ニュウモン 点群深層学習 ~Deepで挑む3Dヘの第一歩」
- 詳解 3次元点群処理 ~Pythonによる基礎アルゴリズムの実装: 金崎朝子, 秋月秀一, 千葉直也, 講談社サイエンティフィク, 2022.